ドラマ「御上先生」第7話では、万引きをした生徒・椎葉春乃の問題を通じて、日本社会の貧困問題やジェンダー格差が浮き彫りになりました。
御上(松坂桃李)の行動によって生徒たちは社会の構造的な問題を考え始め、椎葉の退学撤回を求める署名活動に発展します。
一方、文科省や隣徳学院内部では、不正入学を巡る権力争いが激化。塚田(及川光博)と古代(北村一輝)の駆け引きが御上の運命を左右しそうです。
さらに、槙野(岡田将生)の部下・津吹(櫻井海音)の過労問題を通じて、官僚の労働環境の過酷さも浮き彫りに。第7話は、教育・貧困・ジェンダー・官僚制度と、現代日本の問題を鋭く抉る回となりました。
くれぐれもネタバレ注意でお願いします!
この記事を読むとわかること
- 椎葉春乃の万引き事件を通じて描かれる日本の貧困問題
- 是枝文香の葛藤とジェンダー問題の関係
- 隣徳学院の不正入学と文科省の権力闘争
- 官僚・津吹隼人の過労問題が示す労働環境の過酷さ
- 御上の進退をめぐる動きと今後の展開の予測
椎葉春乃の万引き事件が示す日本の貧困問題
第7話では、隣徳学院の生徒・椎葉春乃(演 – 吉柳咲良)が万引きをしたことで、彼女が抱える困難な家庭環境と、日本社会の貧困問題が浮き彫りになりました。
前話のラストはドラッグストアからの電話でした。
御上(演 – 松坂桃李)と是枝(演 – 吉岡里帆)が、引き取りにやってくる。
彼女が盗んだのは生理用品であり、その背景には経済的な問題だけでなく、女性特有の健康課題が関係していました。
御上は椎葉の行動を単なる犯罪として扱わず、彼女の状況を理解し、大量の生理用品を購入して手渡します。
「これだけあれば卒業まで足りる?」という彼の言葉は、単なる施しではなく、彼女の尊厳を守る行為として描かれていました。
生理用品を盗むしかなかった少女の現実
椎葉春乃は、幼いころに両親を亡くし、祖父母に育てられました。
しかし、祖父の認知症が進行し、家庭の状況は急激に悪化します。
認知症の祖父を見守るため、彼女はアルバイトにも自由に行けず、さらにPMS(月経前症候群)の影響で精神的にも追い詰められていました。
そんな状況で、彼女が万引きしたのは生理用品でした。
「血を流して生きていることを誰かに気づいてほしかった」――彼女の言葉には、経済的困窮だけでなく、社会の無関心への叫びが込められていました。
G7で最も貧困率が高い日本の現状
御上は教室の黒板に「7/7」と書き、日本がG7先進国の中で相対的貧困率が最も高いことを生徒たちに説明しました。
彼は「隣徳学院の生徒たちは恵まれた環境にいるが、それでも貧困は遠い話ではない」と指摘し、社会全体の問題として考えさせます。
貧困層にある家庭の子どもたちは、十分な教育を受ける機会が減り、将来の選択肢も狭まってしまう現実があります。
椎葉春乃のケースは、こうした日本の貧困の問題が身近な場所にあることを象徴していました。
学校は生徒のSOSにどう対応するべきか
椎葉の万引きが発覚したことで、彼女の退学処分が検討されました。
しかし、御上は「これは個人の問題ではなく社会の問題」と訴え、生徒たちとともに退学撤回のための署名活動を開始します。
結果として、大量の署名が集まり、学校側は彼女の退学処分を撤回しました。
また、経済的に困窮している生徒への支援制度を新たに導入することが決定されました。
これは、学校が生徒の問題にどう向き合うべきかを問いかける象徴的なシーンでした。
是枝文香の葛藤とジェンダー問題の浮き彫り
第7話では、御上の行動に対して強く反対する是枝文香の姿が印象的でした。
彼女は、生徒たちの前で椎葉春乃が万引きをしたことを話させようとする御上を止めようとします。
「そんなことを話させたら彼女は傷つく」と怒る是枝の態度には、生徒を守りたいという気持ちがあったものの、それが結果的に問題を隠してしまうことになると御上は指摘します。
このやり取りは、社会問題を語ることの難しさを示すものであり、沈黙が問題を解決するのではなく、むしろ問題を固定化してしまうことを浮き彫りにしました。
御上の発言を止めようとする是枝の本音
是枝は、教師として生徒を守ることを最優先に考えています。
そのため、御上が椎葉の問題をクラスメイトの前で話させようとしたとき、彼女は即座に止めようとしました。
しかし、その後の展開で、椎葉が自らの意思で自分の家庭の事情を語る場面が描かれます。
その言葉を聞いた是枝は、「話すことを止めようとしたのは正しい選択だったのか」と自問します。
結果として、クラスメイトたちは椎葉の境遇を知り、彼女を支えようとする動きが生まれました。
この出来事は、問題を隠すのではなく、共有することで解決の糸口を見つけることができるということを示しています。
「男並みに働くこと」が求められる社会
是枝の葛藤は、彼女自身の過去にも関係しています。
彼女は「男並みに働けることが評価される環境で生きてきた」と語ります。
これは、現代社会において女性がキャリアを築く上で、男性と同じように働くことを求められ、女性ならではの事情は軽視されがちであることを示唆しています。
その結果、女性が働き続けるためには、男性的な価値観に適応することが求められ、無理を強いられるケースも少なくありません。
しかし、この考え方自体が問題であり、ジェンダー平等とは単に「女性が男性と同じように働くこと」ではないと、是枝は気づき始めます。
是枝の決意:変わるべきは個人ではなく社会
第7話の終盤、是枝は「この社会の価値観自体を変えていかなくてはならない」と決意します。
これまでは、御上のやり方に反発することが多かった彼女ですが、今回は彼の意見に考えさせられる場面が多くありました。
特に、貧困やジェンダーの問題が個人の努力だけで解決できるものではないということを理解し始めたのです。
この変化は、彼女の今後の行動に大きな影響を与えることになるでしょう。
隣徳学院の裏側:不正入学と権力闘争
第7話では、隣徳学院の理事長・古代(演 – 北村一輝)と文科省の塚田(演 – 及川光博)
が、不正入学をめぐる駆け引きを繰り広げる様子が描かれました。
隣徳学院は県内トップの進学校としての地位を築いてきましたが、その裏では文科省との密接な関係があり、不正入学の疑惑が浮上します。
御上は、この問題に関与する証拠をつかみ、不正を暴こうと動き始めます。
しかし、隣徳学院をめぐる権力争いは複雑であり、単純に悪を暴いて終わる話ではないことが徐々に明らかになっていきます。
御上と一色が掴んだ「隠された真実」
御上は養護教諭の一色(演 – 臼田あさ美)とともに、隣徳学院の不正入学の実態を調査していました。
一色は御上の亡くなった兄の同級生であり、彼とともに学校の内部事情を探る存在です。
彼らは、過去に隣徳学院が不正入学を行い、政界と繋がりを持っていた証拠を掴みました。
しかし、単なる寄付による優遇ではなく、永田町との密接な関係を利用した利益供与の疑いがなければ、法的な追及は難しいという現実も突きつけられます。
御上は、この状況を打破するために、新たな手を打とうと考えていました。
塚田と古代、対立するようで繋がる二人
一方で、文科省の塚田と隣徳学院の古代の関係が徐々に明らかになります。
塚田は、事務次官のポストを狙うために、東元官房長官の孫娘を隣徳学院へ不正入学させることを画策します。
古代はかつて、経営が厳しい時期に不正入学を容認し、支援を受けていた可能性があります。
しかし、現在は学校のブランドが確立され、過去のような不正を繰り返したくないと考えているようです。
とはいえ、塚田の圧力を無視することはできず、二人の間には緊張感のある駆け引きが続きます。
チョコレートの包みが示唆する権力の動き
第7話で象徴的だったのが、塚田が机に4つのチョコレートの包みを並べたシーンです。
銀色の包み=御上、白とピンクの包み=槙野(演 – 岡田将生)、青の包み=中岡(演 – 林泰文)、オレンジの包み=溝端(演 – 迫田孝也)。
塚田はこのチョコレートを一つずつ見つめ、最終的に銀色の包み(御上)を口にし、残りの3つを弾き飛ばしました。
これは、御上を味方につけようとし、槙野・中岡・溝端を排除する意図があることを示唆しているように見えます。
果たして塚田は、どのような策略を考えているのか?今後の展開が気になるシーンでした。
津吹隼人の悲劇:官僚の過酷な労働環境
第7話では、御上の後輩であり、文科省の若手官僚・津吹隼人(演 – 櫻井海音)が過労で倒れるという衝撃的な展開がありました。
彼は、脳の血管が詰まりかけており、手術が必要な状態だと診断されます。
しかし、妻の出産予定日と手術日が重なってしまい、家庭と仕事の狭間で葛藤する姿が描かれました。
彼のケースは、官僚という職業の過酷さを象徴するものであり、働きすぎが当たり前とされる日本社会の問題点を浮き彫りにしています。
過労で倒れる若手官僚
文科省で働く津吹は、仕事に追われる日々を過ごしていました。
官僚の世界は激務で知られていますが、彼の場合は特に過酷であり、睡眠時間も十分に取れないほどの労働環境でした。
そんな中、彼は突然倒れ、病院に搬送されます。
診断の結果、脳の血管が詰まりかけており、放置すれば命に関わる状態でした。
この出来事は、官僚の過酷な労働環境がいかに深刻なものであるかを視聴者に突きつけました。
槙野の葛藤:「俺はまた仲間を救えなかった」
津吹が倒れたことで、槙野は深い後悔に襲われます。
彼は「俺が焼肉を食わせすぎたから…」と冗談めかしていましたが、実際には自分が部下の負担に気づけなかったことに強い罪悪感を抱いていました。
過去に同僚・高見を救えなかった経験もあり、「また同じことを繰り返してしまったのか」と自問します。
槙野自身も文科省のシステムの中で働く一人の官僚であり、彼もまた巨大な組織の歯車として動かされていることに気づいています。
しかし、彼がこの現実をどう受け止め、どのように行動を変えていくのかは、今後の展開の鍵となるでしょう。
官僚のせいにするだけでは解決しない問題
このドラマでは、官僚の腐敗や不正が描かれることが多いですが、一方で彼らも過酷な労働環境の中で働かざるを得ないことが示されています。
津吹のような若手官僚が倒れるほどの激務を強いられ、それでも日本の教育行政を支えている現実は、多くの視聴者にとって考えさせられるものだったでしょう。
「官僚が悪い」と一括りにするのではなく、官僚制度そのものの問題や、働き方の改善が必要であることが暗示されています。
このエピソードは、ただの個人の悲劇ではなく、日本社会全体の労働環境の問題として捉えるべきものなのかもしれません。
御上先生第7話のまとめ:教育と政治の交差点
第7話は、貧困、ジェンダー、不正入学、官僚の労働問題と、さまざまな社会問題が交差する濃密な回となりました。
万引きをした椎葉春乃の問題を通して、経済的困窮が生徒の生活にどのような影響を与えるのかがリアルに描かれました。
さらに、文科省と隣徳学院の裏側では、政治的な駆け引きが激化し、御上がその渦中に巻き込まれていく展開が見どころでした。
教育の現場だけでなく、日本社会の構造的な問題を鋭く描くこのドラマのメッセージが強く伝わるエピソードでした。
椎葉春乃の退学撤回と生徒たちの成長
椎葉春乃の退学を巡る問題は、生徒たち自身が社会の不条理を考えるきっかけとなりました。
彼女の経済的な困窮が単なる個人の問題ではなく、社会全体の構造的な課題であることを理解した生徒たちは、退学撤回を求める署名活動を開始します。
最終的に学校側は方針を転換し、彼女の退学を撤回することを決定しました。
さらに、支援制度の整備を約束するなど、生徒たちの声が学校を動かした点も印象的でした。
このエピソードを通じて、社会問題を他人事にせず、自ら行動することの大切さが強調されました。
御上は文科省に戻るのか?今後の展開は?
文科省では、御上を省に戻そうとする動きが見られました。
塚田は、御上のクラスの成績が下がっていることを理由に、隣徳学院から引き上げることを検討しています。
一方、理事長・古代は御上に可能性を感じ、しばらく様子を見たいと考えています。
しかし、古代と塚田は表向きは対立しているように見えますが、裏ではつながっている様子もあり、御上がどのような立場に追い込まれるのか注目されます。
彼は教師としての道を選ぶのか、それとも官僚としてのキャリアに戻るのか?今後の展開が気になるポイントです。
このドラマが突きつける「社会の歪み」
第7話では、教育と政治の関係がより深く掘り下げられました。
隣徳学院という学校が、単なる教育機関ではなく、政界や官僚と密接に結びついていることが明らかになりました。
さらに、貧困問題やジェンダー問題、過酷な労働環境といったテーマも交錯し、現代日本が抱える社会の歪みをリアルに描いていました。
「生きづらさは政治につながっている」――御上のこの言葉は、まさにこのドラマのテーマを象徴するものだったと言えるでしょう。
この記事のまとめ
- 椎葉春乃の万引き事件が、日本の貧困問題を浮き彫りに
- 是枝文香はジェンダー問題に向き合い、価値観の変化を決意
- 隣徳学院では、不正入学をめぐる権力闘争が激化
- 津吹隼人の過労問題を通じて、官僚の労働環境の過酷さが描かれる
- 御上の去就が不透明に、文科省と学校の思惑が交錯