ドラマ「地震のあとで」 震災のあとの30年 佐藤浩市,鳴海唯,渡辺大知 ら豪華キャスト

解説
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阪神・淡路大震災から30年の時を経て、村上春樹の短編小説を原作にしたドラマ『地震のあとで』が、NHK総合で4月5日より放送開始。

岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市ら豪華キャストが、震災を直接体験していない人々の“揺らぎ”を描きます。各話ごとに異なる視点から、震災の余波がもたらす喪失と再生の物語が展開。

第1話については、別記事でお届けしました

本記事では、特に注目の第2話から第4話について詳しく紹介します。

地震のあとで 公式HP:

この記事を読むとわかること

  • ドラマ「地震のあとで」の概要と放送情報
  • 各話ごとのあらすじとキャストのコメント
  • 作品に込められたテーマと制作陣の想い

第2話「アイロンのある風景」――震災の記憶と焚き火の炎

順子と三宅、流れ着いた者同士の出会い

2011年、茨城の海辺の町。家を出た順子は、この町で静かに暮らしていた。

そんな彼女が出会ったのは、流木を集めて焚き火をすることを日課にしている三宅という男だった。

冷蔵庫を嫌い、毎日コンビニへ買い物に来る風変わりな男。彼の生活は、どこか時間の流れから取り残されているように見えた。

次第に順子は三宅に興味を抱き、二人は焚き火を囲みながら言葉を交わすようになる。

焚き火に託した心の傷と再生の兆し

三宅が順子に語るのは、神戸での過去だった。

彼は阪神・淡路大震災の前まで神戸に住んでいたが、震災によって生活が変わり、今はこの町に流れ着いている。

燃え上がる炎を見つめながら、彼は震災がもたらした喪失と、自分がいかにそれを受け止められなかったかを語る。

順子もまた、家族や過去から逃れるようにここにやって来た。焚き火の前で、二人はそれぞれの孤独をさらけ出していく。

鳴海唯&堤真一が語る、震災と本作への思い

順子を演じる鳴海唯は、本作への出演について「震災は切っても切り離せない出来事」と語る。

被災した親族の話を聞いて育った彼女にとって、この作品は特別な意味を持つものだった。

また、三宅を演じる堤真一は、西宮出身ながら震災当時は東京にいた経験を持つ。

「遠くから被災する故郷を眺める経験は、今の三宅と似ている」と振り返りながら、「焚き火の炎に前に進もうとする気持ちを託した」と語った。

第2話のキャスト

順子(鳴海 唯)
2011年.家出した先の鹿島灘に住み着き、そこで出会った彼氏と半同棲中。焚き火をする男と共に海辺の夜を過ごす。

三宅(堤真一)
阪神淡路大震災が起こる前まで神戸に住んでいた男。冷蔵庫を嫌い、順子の働くコンビニに毎日買い物にやってくる。
職業は不明だが風貌から画家だと推察される。

啓介(黒崎 煌代)
順子の半同棲中の彼氏。大学生であり、サーフィンとギターが趣味。実家は和菓子屋。

第3話「神の子どもたちはみな踊る」――震災と信仰、揺れる心の物語

宗教に縛られた青年・善也の葛藤

善也は、新興宗教に熱心な母のもとで「神の子ども」として育てられた。

2011年、彼が少年だった頃、東日本大震災が発生。彼はそれをきっかけに信仰を捨てることを決意する。

しかし、信仰によって作られた価値観や母の言葉が、彼の中から完全に消えることはなかった。

9年後の2020年、大人になった善也は、日常の中でなおも揺れ動いていた。

地下鉄で出会った“父かもしれない男”の謎

ある日、善也は地下鉄で耳の欠けた男を目撃する。

その特徴は、彼が一度も会ったことのない父親のものだった。

自分のルーツを知りたいという思いと、過去に向き合うことへの恐怖が交錯する中、善也はその男のあとを追い始める。

震災によって揺らぎ、信仰によって縛られた彼の人生が、大きく動き出す瞬間だった。

渡辺大知、井川遥が考える“共感”とは

主人公・善也を演じた渡辺大知は、神戸で育った自身の経験を重ね合わせながら本作に臨んだ。

「震災は近くて遠いもの。共感とは何かを考えさせられた」と語る。

また、母親役を演じた井川遥は、「人は信じることで生きることができる」とコメント。

震災、信仰、家族――さまざまなテーマが交錯する本作の中で、彼らの演技がどのように物語を紡ぐのか注目したい。

第3話のキャスト

善也(渡辺大知)
2020年.母と母を導く男に“神の子ども”として育てられた宗教二世。少年時代に棄教。大人となり実の父と思しき男を地下鉄の中で見つけ、その後を追いかけていく。

善也の母(井川遥)
神の子どもである善也の母。新興宗教の信者であり、今では指導者的な立場にいる。少年だった善也に神の子どもである所以(ゆえん)を語り、善也を動揺させた。その善也の揺らぎは、今もなお続いている。

田端(渋川 清彦)
善也に神の教えを説いてきた宗教家。善也にとっては育ての父と言える。

ミトミ(木竜 麻生)
善也の会社の同僚。善也に好意を寄せている。

第4話「続・かえるくん、東京を救う」――現実と幻想の境界線

佐藤浩市演じる片桐と“かえるくん”の奇妙な再会

2025年、東京。銀行を定年退職し、漫画喫茶で暮らす片桐のもとに、突如として巨大な“かえる”の姿をした存在が現れる。

その“かえるくん”は、30年前にも片桐と共に戦い、東京を地震から救ったという。

しかし片桐には、その記憶が一切ない。

現実とは思えないその状況に困惑しつつも、彼は次第に“かえるくん”の話に引き込まれていく。

関西弁の男、介護士然とした謎の存在とは?

そんな片桐の前に、さらに謎の男が現れる。

関西弁を話し、介護士のような雰囲気を持つその男は、片桐をある部屋へと誘っていく。

「ぼくのことを本当に覚えていないんですか?」

その問いかけが、片桐の意識を揺さぶり、現実と幻想の境界を曖昧にしていく。

のんが語る、かえるくんの声を演じる意義

“かえるくん”の声を担当するのは、俳優ののん。

彼女は「村上春樹さんの原作をリスペクトしながら演じた」と語る。

震災の記憶を持たない世代が、過去とどう向き合うのか。

奇妙な物語の中に込められたテーマが、視聴者に問いを投げかける。

第4話のキャスト

片桐(佐藤 浩市)
2025年.かつて“かえるくん”と共に東京を救ったはずだが、その記憶はなくなり、毎日をゴミ拾いと駐車場の誘導員
として過ごす。だが再び“かえるくん”が現れ、“みみずくん”の暴走を止めるべく地下深くへ降りることになる。

謎の男(錦戸 亮)
片桐の前に現れる介護士然とした謎の男。関西弁を話し、片桐をある部屋へと誘っていく。そこで片桐は「ぼくのことを本当に覚えていないんですか?」と男に詰め寄られ、世界とのつながりを見失っていく。

かえるくん(のん)
30年前に片桐の前に現れた巨大な蛙(かえる)の姿をしたかえるくん。かつてみみずくんが怒り地震を起こそうとしたが、かえるくんは片桐を頼り東京を壊滅から救った。そして今、かえるくんは再び片桐の元へ現れた。

山賀(津田 寛治)
片桐の同僚警備員。“かえるくん”の姿は見えず、片桐のことを奇妙に思っている。

ドラマ「地震のあとで」まとめ――震災から30年、今こそ見るべき物語

なぜ今、村上春樹の短編を映像化するのか?

阪神・淡路大震災から30年が経過し、当時を知らない世代も増えている。

しかし、日本ではその後も東日本大震災や熊本地震など、大規模な地震が続き、多くの人々が震災の記憶を受け継いできた。

村上春樹が震災後に描いた短編は、直接的な被災体験ではなく、「震災の影響を遠くで受けた人々」の視点を通して、喪失や再生の物語を紡いでいる。

このドラマの映像化は、震災を過去の出来事にするのではなく、今を生きる私たちにとっての「震災のあと」を改めて問い直す機会になるだろう。

演出・制作陣が込めたメッセージ

本作の演出を務めた井上剛監督は、「震災を体験していない〈部外者〉でも、震災の傷は遠い場所にも残っている」と語る。

村上春樹の原作が持つ「当事者ではない人々の視点」は、震災から時間が経った今こそ、多くの人に響くものだ。

また、制作統括の山本晃久氏は、自身の震災の記憶を振り返りながら、「この30年間に天災や人災で亡くなったすべての方々への哀悼を込めた」とコメントしている。

本作が映し出すのは、震災の直接的な被害だけではなく、それによって生まれた見えない傷や、人々の心の揺らぎだ。

「地震のあとで」を生きるすべての人に向けた、深いメッセージが込められている。

この記事のまとめ

  • 阪神・淡路大震災から30年後の今を描くNHKドラマ「地震のあとで」
  • 村上春樹の短編を原作に、震災の影響を遠くで受けた人々の物語を映像化
  • 岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市ら豪華キャストが出演
  • 各話ごとに異なるテーマで喪失と再生を描く4つの物語
  • 制作陣が込めた「震災の記憶を風化させない」メッセージ
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